家族信託と商事信託の違い
信託といえば多くの方が信託銀行を想像されるのではないでしょうか。信託は、家族信託と商事信託が一般的な形式です。信託銀行と家族信託は内容が異なり、信託銀行で扱う信託のことを商事信託といい、信託銀行などが国から許可を得て営利目的で信託行為をしています。家族信託と商事信託の大きな違いは、受託者が財産を運用・管理・処分する上で利益を得るか得ないかという点です。
商事信託は営利目的
商事信託は、専門の銀行や会社が受託者となって資産管理を行い、受託者となった信託銀行などが報酬を得ます。公的な機関に財産や信託についての管理を任せるので、受託者による不正やトラブルが起こることがありません。
家族信託(民事信託)は非営利目的
家族信託は信頼できる家族や親族に資産管理を託し、その管理や処分をお願いする制度で、信託財産の管理・処分についての報酬はありません。営利目的でない契約については、信託業の免許がなくとも受託者となることが可能です。委託者は自身の財産を受託者に託し管理運用してもらうので、自身の財産を安心して託す事ができる家族を受託者にすることがほとんどです。受託者となった者は信託契約の内容に従い、委託者の財産を適切に管理・処分する義務があります。
家族信託では、金融実務の対応していない現金や不動産、未上場の不動産を信託財産として扱います。反対に商事信託では金融資産をメインとし、基本的に不動産は取り扱いません。